胸焼け

胸焼けとは、胸が焼けるような感覚、ヒリヒリ感やジリジリ感、胸の不快感、胃酸が上がってきたように感じる症状です。「胸が熱く感じる」「胸が詰まるような感じ」「背中が張る感じ」「食後に酸っぱいものが上がる」といった表現もよくされます。食後に満腹になった胃が膨らみ、下部食道括約筋が緩むことで、胃酸が食道に逆流しやすくなります。加齢や肥満、食道運動障害、食道粘膜の過敏症などが原因とされています。また、逆流性食道炎や消化性潰瘍、食道アカラシア、機能性ディスペプシア、胃がん、食道がん、狭心症、心筋梗塞なども原因となる場合があります。

胸焼けの治療についてお悩みの方は、自己判断せずに医師による適切な治療を受けることをお勧めします。当院では、胸焼けが逆流性食道炎や食道がんのサインとして現れている可能性がある方には、胃カメラ検査を推奨しています。お悩みの際は、ぜひご相談ください。

胃食道逆流症は、症状の現れ方や食道の損傷度合いによって分類されます。食道に炎症が認められるタイプは「逆流性食道炎」と呼ばれます。喫煙者や高齢の男性によく見られ、胃酸の逆流によって食道の粘膜が損傷し、胸焼けなどの症状が現れることがありますが、症状が自覚されない場合もあります。
一方、食道に炎症がない状態で胸焼けが現れるタイプは「非びらん性胃食道逆流症」と呼ばれます。このタイプは、体重が軽い方や若い女性によく見られる傾向があります。食道に炎症が認められないにもかかわらず、食道が刺激に敏感で、少量の胃酸や低酸度の胃液が逆流しただけでも過剰に反応することがあります。
胃酸の逆流を防ぐためには、食生活や禁煙、肥満予防、普段の姿勢や体勢も大切です。まず、一度に大量に食べたり、寝る直前に食事を摂ったりする習慣があれば、改善しましょう。
脂肪分が多い食事、甘い食べ物、柑橘類、炭酸飲料、コーヒーやお酒は、胃酸の逆流を促進することがあります。加えて、肥満による腹部の圧力上昇や喫煙は、食道下部括約筋を弛め、胃酸の逆流を招きやすくなります。健康的な体重を保ち、禁煙を目指しましょう。
さらに、姿勢にも注意が必要です。右半身を下にして寝ると、食道下部括約筋が締まりづらくなり、胃酸が逆流しやすくなります。また、腹部を強く締め付ける服を着る、前かがみの姿勢を取る、重い物を持つといった動作は慎重に行いましょう。薬を服用する際には、適量の水を飲むことも重要です。水分を十分に摂取しないと、薬が食道の粘膜を刺激する可能性があるため、注意が必要です。