市販の便秘薬について

食生活や生活習慣、排便習慣を改善しても便秘が改善されない場合、便秘薬を使用したいと思う方もいらっしゃるかもしれません。ドラッグストアなどで便秘薬や下剤を購入する際には、以下の点にご注意ください。
自分に合ったものを選ぶ
便秘薬には大きく分けて、便を作用させる「非刺激性便秘薬」と、腸に直接作用して便通を促進する「刺激性便秘薬」があります。
非刺激性便秘薬には主に酸化マグネシウムが含まれており、便を柔らかくし、かさを増やす効果があります。便秘を感じ始めた時や、硬くて排便がしづらい場合に使用されます。
刺激性便秘薬には、センナやビサコジルなどが含まれており、大腸を刺激して便通を促進します。通常、非刺激性便秘薬で効果が見られない場合に使用されます。
薬剤性便秘に注意しましょう
刺激性便秘薬を頻繁に使いすぎると、腸が疲れてしまい、便秘が悪化する可能性があります。この状態は「薬剤性便秘」と呼ばれます。薬剤性便秘が進行すると、「効かなくなった」と感じて薬の量を増やし、それによって更に便秘が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
非刺激性便秘薬も症状への対処療法であり、根本的な解決策には至りません。毎日使用したり長期間使用したりすると、副作用のリスクが高まります。
便秘の原因を早期に特定して治療を行うためにも、市販の便秘薬に過度に頼らず、早めに当院へご相談ください。
3日以上便がでないのは便秘?
便秘とは、スムーズに排便ができない状態を指します。排便の頻度や量は個人差があり、例えば2日に1回の排便があったとしても、それが必ずしも便秘であるとは言えません。
一つの目安として、3日以上排便がない場合を便秘と考えることがあります。このような場合は、受診をお勧めします。また、1日1回や2日に1回の排便があっても、腹痛や硬い便、腹部の張りなどの不快感が伴う場合も、早めに受診することが重要です。
便秘と宿便の違いとは
宿便とは、腸の機能が正常であっても、便がスムーズに排出されず腸内に溜まり続ける状態を指します。宿便では、便が出にくい、硬い便が出る、腹部の膨満感などの不快感は通常現れません。
一方、便秘は腸の働きが低下し、便が腸内に溜まる状態であり、この場合、便秘に伴う不快感(腹痛や膨満感など)が現れます。
便秘の症状
以下の症状があれば、便秘や便通異常が考えられます。放置せずにご相談ください。
- 3日以上便が出ない
- 排便が苦しい
- いきまないと便が出ない
- 硬い便が出る
- お腹の膨満感や腹痛が続く
- 便が少量しか出ない
- コロコロした便が出る
- 便が出るまでに5分以上かかる
- 残便感がある
- 便秘薬がないと不安
便秘の主な原因
便秘には、大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類があります。それぞれの原因は異なります。
機能性便秘
生活習慣の乱れやストレスなどが原因で発生する便秘です。生活習慣を見直すことで、便秘の改善が期待できます。また、医療機関での治療も可能です。
直腸性便秘
人間の体は便が直腸に達すると、排便感を感じて便を出そうとします。しかし、加齢や排便を我慢する習慣などにより、排便がしにくくなることがあります。このような状態が直腸性便秘です。
痙攣性便秘
生活リズムの乱れやストレス、睡眠不足などが原因となり、自律神経のバランスが崩れることで腸が緊張し、便秘を引き起こします。
弛緩性便秘
水分や食物繊維の不足、筋力の低下、運動不足、激しい減量などが原因で腸の蠕動運動が低下し、便秘が発生します。
器質性便秘
病気などによる器質的な異常が原因で起こる便秘です。原因となる病気を治療する必要があります。主な原因には、大腸がん、腸閉塞、腸管の癒着、痔などがあります。これらの異常が改善されない限り、便秘の解消は難しいことがあります。
便秘放置すると怖い…便秘をともなう病気
便秘をそのままにしておくと、痔や大腸の病気など、さまざまな疾患を引き起こすことがあります。以下のような病気に注意が必要です。
痔

大腸の疾患

大腸ポリープや大腸がん、腸閉塞といった大腸の病気が、便秘の原因となることがあります。また、慢性的な便秘を放置することで、大腸の潰瘍や穿孔(穴が開く)、虚血性大腸炎、腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。
便秘の検査・診断

当院では、まず問診で便秘の状態や他の症状の有無、直近の生活習慣、過去の病歴、家族歴、服用中の薬などを詳しくお伺いします。そのうえで、聴診・触診、腹部X線撮影、血液検査などを行い、原因を明らかにします。 大腸の病気が疑われる場合には、大腸カメラ検査をおすすめしております。当院では、鎮静剤を使用し、できる限り苦痛を軽減した検査を行っています。経験豊富な内視鏡専門医・指導医が丁寧に検査を行いますので、安心してご受診ください。
便秘の治療薬・便秘薬
便秘にはさまざまな原因があり、その内容によって治療法も異なります。特に病気が原因となる「器質性便秘」の場合には、その病気自体の治療が最優先となります。 便秘の治療では、以下のような薬物療法や生活改善を組み合わせて行います。
薬物療法(便秘薬)
浸透圧性下剤
腸内の水分分泌を促し、便を柔らかくして排便を促進します。比較的穏やかな作用で、慢性便秘にも使われます。
主な薬剤
酸化マグネシウム、ラクツロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)、PEG製剤 など
刺激性下剤
大腸を刺激して腸の動きを活発にし、排便を促します。即効性がありますが、腹痛や電解質異常を起こすリスクもあります。長期使用には注意が必要です。
主な薬剤
センナ、センノシド、大黄、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム など。 ※アントラキノロン系の薬(センナなど)は、長期間使用すると大腸黒皮症という腸の色素沈着を引き起こす可能性があります。
粘膜上皮機能変容薬
比較的新しいタイプの便秘薬で、腸内の水分分泌を増やしたり、腸の感受性を改善する作用があります。慢性便秘や過敏性腸症候群(IBS)にも有効です。
主な薬剤
ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)
胆汁酸トランスポーター阻害薬
胆汁酸の再吸収を抑えることで、大腸に水分を残し、腸の動きを促進します。
主な薬剤
エロビキシバット(グーフィス)
プロバイオティクス
腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることで、自然な排便を促進します。
生活習慣・排便習慣の改善で、自然なお通じを目指しましょう
便秘の改善には、薬だけでなく日々の生活習慣の見直しがとても重要です。以下のポイントを意識して、腸の健康を整えていきましょう。
水分・食物繊維を多く摂る
便を柔らかくし、スムーズな排便を促すためには、水分と食物繊維の摂取が欠かせません。 水分は1日1.5〜2リットルを目安に、水やお茶でこまめに補給しましょう。
食物繊維が豊富な食材
野菜・果物・穀物・豆類など
良質な油を摂る
オリーブオイルやアマニ油など、腸に優しい油は排便をスムーズにする働きがあります。日々の食事に取り入れてみましょう。
自律神経のバランスを整える
腸の動きは自律神経と深く関わっています。以下のような習慣で整えていきましょう。
- 規則正しい生活リズム
- 質の高い睡眠
- ストレスをためすぎない(趣味やリラックスタイムも大切です)
適度な運動をする
ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進します。無理なく継続できる運動を取り入れてみましょう。
- 毎日決まった時間にトイレに座る習慣をつけましょう。
- 便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレへ。
- スマホなどを持ち込まず、リラックスできる排便環境を整えるのも効果的です。

