胃もたれとは
胃もたれとは、食べたものが消化されず、時間が経っても胃に残っているように感じる症状です。消化しにくい食べ物を摂取した場合に発生することがありますが、胃の機能や自律神経の乱れが原因となることもあります。また、インフルエンザや感染性胃炎などの感染症の初期症状として起こることもあります。
一過性の胃もたれは、食事が原因の場合、食事を抜いて安静にすることで改善することがあります。感染症による場合は、通常、発熱や下痢などの症状も伴い、それに適した治療が行われます。
ここでは、一過性ではなく慢性的な胃もたれがあり、かつ他の目立った症状を伴わない状況を前提に解説します。
症状
胃もたれ、お腹の不快感、腹部の張り感、げっぷなどが挙げられます。
胃もたれの原因
暴飲暴食や消化の悪い食べ物の摂取が原因でない場合、ストレスや胃の機能低下、自律神経の乱れ、ピロリ菌感染などが主な原因です。
食事後、通常2〜3時間以内に胃の中の食べ物は消化されます。胃の機能が低下すると、食べ物が胃に長時間とどまり、消化がスムーズに進まなくなります。これにより胃もたれが引き起こされます。
消化器系は、口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、そして肛門へと食べ物を送る蠕動運動によって機能します。この蠕動運動の力は、加齢や運動不足などで弱まり、胃に食べ物が長時間留まる原因となります。その結果、胃もたれが生じるのです。
また、胃の働きは自律神経によって制御されています。このため、自律神経の乱れがあると、胃の機能が適切に調整されず、胃もたれを引き起こすことがあります。特に女性の場合、女性ホルモンの影響も考えられます。月経周期と胃もたれの発生時期を比較し、症状が現れやすい時期が特定されれば、その時には少量で消化の良いものを摂取することで改善されることがあります。
ピロリ菌感染による胃もたれは、ピロリ菌が生成するアンモニアなどの有害物質が胃に影響を与えることで引き起こされます。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍を引き起こし、胃がんの原因にもなることがわかっています。したがって、感染が確認された場合は、除菌治療を受けることが推奨されます。
また、寝る直前に食事を摂る習慣があると、睡眠中に消化が追いつかず、胃に食べ物が長時間とどまる習慣が定着します。その結果、胃の状態が悪化し、慢性的な胃もたれが生じることがあります。この場合は、消化の良い食べ物を適度に摂取し、食後数時間を開けてから就寝することを心がけると改善が期待できます。
胃もたれが続く際の治療方法
胃もたれが続く場合、まずは症状の詳細や胃もたれが生じる時期、過去の病歴や服用中の薬について問診を行い、胃や消化器系の疾患が隠れていないかを検査で調べます。主な検査として、血液検査、内視鏡検査、超音波検査などが行われます。
もし、特別な病気が見つからなかった場合は、ライフスタイルや食事の改善指導を行い、改善を目指します。また、胃の働きを促す薬を処方することもあります。ピロリ菌感染が疑われる場合は、除菌療法をお勧めします。
ピロリ菌の除菌治療
内視鏡検査では、組織の採取が可能です。ピロリ菌感染が疑われる場合、採取した組織を検査して感染の有無を確認します。感染が確認された場合、胃酸分泌抑制薬と抗菌薬を7日間服用し続ける除菌療法が行われます。ただし、除菌治療の成功率は100％ではないため、治療後6週間以降に再度検査を行い、除菌が成功したか確認します。除菌が失敗した場合は、薬を変更して2回目の除菌療法を行います。2回目の治療でほとんどの患者様がピロリ菌の除去に成功しています。
食事について
暴飲暴食を避け、腹八分目を心がけることが大切です。また、就寝時間の数時間前に食事を済ませるようにしましょう。動物性脂肪や油っこいもの、甘いものは避け、香辛料の過剰な使用も控えます。
ただし、厳格な食事制限をすると食事自体がストレスになってしまうため、適度に楽しむことが重要です。ゲップやガスが増えている場合は、食物繊維をしっかり摂取することが推奨されますが、過剰摂取すると逆にガスやゲップが増えることがあるため注意が必要です。また、消化に時間がかかる食品は胃もたれを引き起こしやすいため、摂取する際は注意しましょう。
生活習慣
胃の働きを促進するために、適度な運動を習慣にしましょう。ウォーキングなど軽い運動でも効果的です。また、3食を規則正しく摂取し、毎回30分程度の食後休憩を取ることが望ましいです。
十分な睡眠も胃もたれ改善には欠かせません。ゆっくり湯船に浸かることで体を温め、冷えを解消することも有効です。冷えが原因で代謝が低下し血行が悪化すると、胃もたれが悪化するため、冷えを解消することが胃もたれの予防にもつながります。
ストレスとの付き合い方
ストレスは胃の健康にも大きく影響を与えますので、マインドフルネスなど上手に発散する方法を見つけましょう。ただし、タバコやアルコールは胃への負担が大きいため、避けた方が良いです。
