下痢が続いたらどうなる？
下痢が続くと、最も気をつけなければならないのが脱水症状です。脱水が進行すると、切れ痔や痔ろうを引き起こす可能性もあります。また、下痢は大腸疾患のサインとして現れることもあるため、油断は禁物です。
下痢は、専門的な治療で改善が可能です。「体質だから治らない」と諦めず、お気軽に当院にご相談ください。
急性下痢
急性下痢は、通常2週間以内に解消される一時的な症状です。ウイルスや細菌による感染性腸炎や、非感染性腸炎が主な原因となります。感染性腸炎が大部分を占めており、原因となる病原体にはノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター、サルモネラ菌などがあります。
非感染性腸炎の原因としては、食べ過ぎや飲みすぎ、薬の副作用、アレルギー反応などが挙げられます。
下痢がひどく、発熱や嘔吐を伴っている場合は、脱水症状に注意が必要です。
慢性下痢
4週間以上続く下痢が慢性下痢です。主な原因としては、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、大腸がんなどが挙げられます。また、甲状腺機能亢進症や膠原病、薬の副作用なども関与している場合があります。さらに、ストレスが慢性下痢の発症を間接的に引き起こすこともあります。
下痢とは？早急な受診が必要な場合
下痢とは、水分が多く含まれた便のことです。強い便意や腹痛、腹部の不快感が伴うことが多いです。特に以下の症状が見られる場合は、早急に受診が必要です。
早急に受診をおすすめする場合
- 急にひどい下痢が始まり、長時間トイレにこもってしまう
- 粘液や血液が混じった便が出た
- 発熱、嘔吐、吐き気を伴っている
- 排便しても腹痛が改善しない
- 脱水症状が見られる
感染性腸炎による下痢の場合、下痢止めを使用すると病原体の排出が妨げられ、症状が悪化することがあります。その他の下痢の場合でも、上記のような症状がある場合には、速やかに医師の診療を受けることが重要です。早期の受診を心がけましょう。
※脱水症状がひどく、意識を失う、痙攣が起きる、または子供や高齢者が倒れている場合は、すぐに救急車を要請してください。
下痢をともなう病気
ウイルス性胃腸炎
ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどによって引き起こされる胃腸炎です。下痢のほかに、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れます。ウイルス性の場合、下痢止めを使用するとウイルスがスムーズに排出されなくなるため、重症の方でない限り、基本的には医療機関では処方されません。二次感染を予防するためにも、早めにご相談いただくことをお勧めします。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腹痛や下痢、便秘など、腹部または便の不調が繰り返される疾患です。症状に応じて、下痢型、便秘型、混合型に分類されます。
一日に10回以上も頻繁にトイレに行かなければならないほど、激しい下痢に悩まされる方もいらっしゃいます。また、排便後に一時的に症状が軽減することがあり、精神的なストレスが症状を悪化させることもあります。
炎症性腸疾患（クローン病・潰瘍性大腸炎）
炎症性腸疾患は、免疫機構の異常などにより、腸管内に炎症が生じる疾患です。代表的な疾患として、クローン病や潰瘍性大腸炎が挙げられます。
下痢や便秘、血便、腹痛、貧血、倦怠感、体重減少など、さまざまな症状が現れます。これらの疾患は厚生労働省から難病に指定されていますが、適切な治療を受けることで、発症前とほぼ同じ生活を送ることが可能になります。
大腸がん
大腸がんは、食の欧米化、野菜や果物の摂取不足、運動不足、過度な飲酒、肥満、喫煙などが原因となり、発症することがあります。初期段階では症状がほとんど現れませんが、ある程度進行すると、血便、下痢、便秘、便が細くなる、腹痛、腹部の膨満感などの症状が現れます。下痢と便秘が交互に発生することもあります。
下痢の検査と診断
患者様の症状や直近の食生活、同じ食事をした方の症状、服用されている薬、過去の病歴、家族歴などを問診でお伺いします。問診後には、血液検査や超音波検査、大腸内視鏡検査などを実施し、確定診断を行います。
当院では、快適に受けられるよう、鎮静剤を使用して苦痛を抑えた大腸カメラ検査を行っています。経験豊富な内視鏡専門医・指導医が検査を行いますので、安心して受診いただけます。
下痢の治療
急性下痢と慢性下痢の治療方法は、それぞれ異なります。医薬品の副作用として下痢が発生している場合は、処方医と連携し、薬の中止や減薬、変更を行う必要があります。
急性下痢
ウイルス感染による腸炎や暴飲暴食による下痢の場合、胃腸を休めて静養し、回復するまで様子を見ます。細菌感染の場合は抗菌薬を処方します。どちらの場合も脱水状態に陥らないよう、こまめに水分補給を行うことが重要です。特に嘔吐や発熱がある場合は、脱水に十分に注意しましょう。
慢性下痢
過敏性腸症候群や炎症性腸疾患（クローン病・潰瘍性大腸炎）、大腸がんなどの診断がついた場合、個々に適した治療が必要です。
過敏性腸症候群や炎症性腸疾患の場合、生活習慣の見直しや薬物療法が行われます。炎症性腸疾患は未だ原因が不明とされている難病ですが、適切な治療を受けることで、症状を緩和し、ほぼ健康な状態で日常生活を送ることが可能です。
大腸がんの患者様には、内視鏡治療や手術、化学療法が行われます。
下痢のときの食べ物・飲み物
消化の良いものを食べる・絶食
下痢時には、胃腸に負担をかけない食事を選ぶことが大切です。お粥やうどん、具のないスープや味噌汁、豆腐、ゼリーなどが適しています。油っこい食べ物や刺激の強い食品、お菓子、アルコール、カフェインなどは避けましょう。症状が悪化している場合は、断食が推奨されることもあります。
適切な水分補給方法
食事量を減らしている時や絶食中でも、水分補給は欠かせません。脱水を防ぐために、常温の経口補水液やスポーツドリンクをこまめに摂取することをお勧めします。
